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OSCE(オスキー)とは? 医学部での共用試験の基本や対策を解説

医学部では臨床実習の前後に、学外の機関が運営する「共用試験」を受けて合格する必要があります。この記事では、臨床実習前の4年次の共用試験で行われる実技試験「OSCE(オスキー)」にスポットをあて、OSCEの概要や実施時期、合格率、試験対策などについて解説します。

医学部の共用試験とは

OSCEは共用試験の一環として行われる実技試験です。まずは、OSCEについて詳しく述べる前にこの共用試験について確認していきましょう。

共用試験の概要

共用試験とは、全国の医科大学・大学医学部、または歯科大学・大学歯学部の学生を対象に実施される評価試験です。これは全国の医科大学・大学医学部、および歯科大学・大学歯学部で組織する「公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構」が運営しており、2002年度にOSCEのトライアルを実施し、2005年度から正式に実施されるようになりました。

共用試験はコンピューターを用いて医学的知識を習得しているかを問う試験「CBT」と、基本的臨床能力を評価する実技試験「OSCE」の2つから構成されています。また、この共用試験は臨床実習前と臨床実習後の2回実施されます。

多くの医科大学・大学医学部の4年次に行われる臨床実習前の共用試験は、診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ:CC)に参加するための「仮免許」試験と位置付けられており、医学生は実習前にこの共用試験に合格しなければならず、5年生への進級条件となっています。

なお臨床実習前の試験は、医学系は2023年から、歯学系は2024年から医師法および歯科医師法第17条で定めた公的試験になります。

共用試験が実施される目的

共用試験の実施目的は、医学生の知識・技能・態度を全国的に向上させるとともに、その事実を社会や国民に対して示すことです。また、大学が自大学の学生の成績向上を目指し、優れた人材育成に取り組むためでもあります。

ほかにも医師の態度や言葉によって患者を傷つけるケースや医療ミスなどが社会問題になったことから、育成の見直しや臨床実習の充実が指摘されるようになりました。

そして従来の臨床実習が指導医の診療を見学するだけだったのに対し、現在の臨床実習は医学生も医療チームに入って参加する「診療参加型臨床実習」が一般的となっています。
ただ、医師国家試験にまだ合格していない医学生を実際の診療に参加させることは、医師法に抵触する恐れがあり、患者さんにも不安を与えかねません。
そこで臨床実習に参加する医学生に医療行為をさせてもよいと判断できる知識・技術・態度があるかどうかを評価する試験として、共用試験が実施されています。

OSCE(オスキー)の概要

先述したようにOSCEは、共用試験で実施される2つの試験のうちのひとつです。正式名称はObjective Structured Clinical Examinationで、日本では「客観的臨床能力試験」と訳されます。

共用試験で実施されるもうひとつの試験「CBT(Computer Based Testing)」が、知識を問われる学力試験のようなものに対し、OSCEは医療面接や身体診察、手技などの基本的技能の習得度を評価する実技試験です。つまり、OSCEは医療現場で実習する際に、きちんとした言葉遣いや態度で患者さんとコミュニケーションが図れ、基本的な臨床能力があるかどうかを確認するための試験なのです。

OSCEの試験は6つのステーションに分かれており、学生は各ステーションを回って試験を受けます。試験範囲は全国共通で「医療面接」「頭頸部診察」「腹部診察」などがあり、患者さんの診察の仕方や手技、器具の使い方、所見の述べ方、態度などが評価されます。制限時間は医療面接が10分で、それ以外は5分です。

ちなみに現時点では全国で統一された合格基準はなく、各大学が独自の合格基準を設けて実施されています

OSCEの実施時期

共用試験は全国で一斉に行うわけではありません。多くの大学では臨床実習前のOSCEであれば4年次の8月から翌年の3月にかけて実施します。傾向としてはCBTを実施した1カ月後ほどにOSCEを実施する大学が多いです。

ただし、もしも臨床実習の開始時期が早まるようなことがあれば、これらの試験の実施時期も早まることが予想されます。

臨床実習後のOSCEについて

先述したように共用試験は臨床実習前と臨床実習後の2回実施され、臨床実習前に行うOSCEを「Pre-CC OSCE」臨床実習後に行うOSCEを「Post-CC OSCE」と呼びます。

Pre-CC OSCEが5年次の臨床実習への参加を目指した実施試験に対し、Post-CC OSCEは初期研修開始前の臨床能力の裏付けを目的として行われます。Post-CC OSCEの実施時期もPre-CC OSCE同様に大学によって異なりますが、おおむね6年次の7月から11月にかけて行われます。

なお、Post-CC OSCEは2020年度から全国で正式実施されており、この試験に合格しないと医師国家試験の受験資格がもらえません。

試験内容はPre-CC OSCEが医療面接と身体各部の診察だったのに対し、Post-CC OSCEはある症候をもつ患者への医療面接、身体診察、指導医への報告です。課題数はPre-CC OSCEが6課題であるのに対し、Post-CC OSCEは機構課題が3課題、大学独自課題が1~3課題出題されます。
さらに、Pre-CC OSCEでは自大学の教員と他大学の教員が評価者を務めますが、Post-CC OSCEでは自大学の教員、他大学の教員に、臨床研修指定病院等の指導医が加わります。

OSCEの合格率

OSCEは医学生にとって避けては通れない重要な試験ですが、OSCEの合格率は非常に高く、約90%前後と言われています。
ただし、受験者全員が一発合格できるわけではありません。OSCEで落ちる要因として多いのは、各セクションに手間がかかってしまい、時間切れになってしまうことです

OSCEの試験範囲はそれほど広くなく、内容も事前に提示されているため、手順を暗記して繰り返し練習すれば、本番で緊張せずに合格する可能性は非常に高いです。さらに、この試験は万が一、落ちても再試験が受けられます。

OSCE合格のための対策ポイント

OSCEには再試験がありますが、誰でも一発合格したいはずです。そこで、ここでは合格のための対策ポイントを解説します。スムーズに合格できるように計画的に勉強しましょう。

対策は2週間前には始める

OSCEの出題範囲はそれほど広くありません。最低でも2週間前には対策を始めるようにしましょう。最近では1か月前からの対策を始める人が多く、余裕をもって勉強を進めたい人はもっと早くから始めています。
とはいえ、これはあくまで現状での傾向です。今後OSCEの重要度や難易度がさらに高まっていくと、より多くの対策時間が必要となる可能性があります。また、合格率が高いとはいっても何も対策なしで受けられるほど甘い試験ではないため、遅くても2週間前には対策を始めるべきです。

医療面接の流れを確認する

OSCEでは、模擬患者に対する医療面接が必須項目です。試験当日に緊張して焦らないためにも患者さんが入室してから退室するまでの言語・行動を含めた、一連の流れを大学の教材やDVD、参考書などを用いて何度も確認しましょう。

例を挙げると、問診では来院した理由や症状の経過などについて患者さん自身に話してもらうこと(開放型質問)を心がけ、相手の言葉をさらに引き出すような相槌や質問を適宜行いましょう。このとき、患者さんの感情に寄り添うことも大切です。そしてある程度症状が把握できたら「ここは痛みますか」などの「Yes/No」で答えられる閉鎖型の質問にシフトします。

このように患者さんへの質問や返答がスムーズにできるようにするためには、あらかじめ考えられる質問や返答をストックしておきましょう。また、可能であれば友人や先輩などに頼んで、患者役として練習に付き合ってもらうと、より本番に近いシミュレーションができます。

試験時の服装や身だしなみは清潔感を意識する

医師として患者さんから信頼を得るためには、第一印象も重要です。試験でも服装や身だしなみがちゃんと整えられているか厳しくチェックされます

たとえば、髪は金髪・茶髪を避けて髪型を整える、アクセサリーや化粧はしすぎない、ヒゲはしっかり剃っておくなど、清潔感のある身だしなみを心がけましょう。特に爪は注意深く観察される部分です。試験当日はマニキュアやネイルアートは避けて、爪をきれいに整えておきましょう。

患者さんへの配慮を意識して対応する

OSCEでは技術だけでなく、患者さんに対する医師としての姿勢も問われます。そのため、できるだけ患者さんと視線を合わせ、態度や言葉遣いなどにも配慮して「患者さんファースト」を心がけましょう

たとえば、患者さんに質問や説明を行うときは分かりやすい言葉を使い、事務的に質疑応答を行うのではなく、患者さんが返答に困らないような質問をしましょう。また、聴診器をあてるときも「少し冷たいですよ」など、気遣いのある言葉をかけると評価が高いです。もちろん、入退室時の挨拶も忘れてはいけません。

MediE医師講師 凛子 先生のワンポイントアドバイス

OSCE合格のための対策としては、学習動画を繰り返し見るのが一番です。一連の流れを動画で見られると、実際の面接の流れが把握できます。また態度や言葉遣いといった、文字ではいまいちイメージしにくいポイントも分かりやすいでしょう。

また、友達や先輩にお願いし面接練習をするのも効果的です。実際にシミュレーションしてみることで、自分の苦手なポイントなども見えてくるでしょう。

他にも「診察と手技がみえる(編集:古谷 伸之)」は、医療面接の対策としてはもちろん、臨床実習や卒業後の臨床研修まで使えるので、今後のためにもおすすめの本です。

まとめ

OSCEとは臨床実習前の4年次と、臨床実習後の6年次に実施される共用試験の中の実技試験です。現状、OSCEの合格率は比較的高い傾向にありますが、OSCEは筆記試験と異なり、臨機応変に対応しないと合格できません

少しでも合格できるか不安であれば、医師国家試験個別指導塾MediEにおまかせください。MediEでは、現役医師講師が生徒一人一人に合った個別指導を行います。ぜひ、勉強に不安や悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。

また、OSCE対策についての動画をアップしています。ぜひ参考にしてください。

【医学生】OSCE(オスキー)対策【前編】
【医学生】OSCE(オスキー)対策【後編】

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