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(エッセイその6)病院見学と面談──いよいよ臨床研修再開できるか!?

目次

今まで公開したエッセイ:

初期臨床研修を中断するという選択(エッセイその1)

臨床研修中断までの道――職場に休みたいと言ってみた(エッセイその2)

休職してから――初期臨床研修中断、そして再開に向けての準備(エッセイその3)

初期臨床研修中断から再開までーー医師免許を持ったニートの生活(エッセイその4)

http://medie.site/516/

 

 

いざ貴院へ

臨床研修再開予定病院から「病院見学、そして病院長との面談に来てください」と言われた私は、必要な書類を揃えてメールをした。

そして2月、神奈川県の病院に病院見学と面談に行くことになった。

 

当日──

 

病院見学やら面接やらは久しぶりでとても緊張した。自分が純粋な医学生ならまだしも、他の病院で臨床研修を中断した人間だと周りに説明したらどんな顔をされるのだろう…。

家から病院までの2時間の移動中、不安でいっぱいだった。

病院長、副病院長と面談

病院につくと、事務の方が迎えに来てくれて「では早速」ということでいきなり病院長、副病院長の先生方と面談することになった。

持参した臨床研修中断証、履歴書、診断書等を見せると

体調不良による臨床研修中断ねえ…
まあ詳しいことはプライバシーだから聞かないけど、
うちの病院では続けられそうかな?

はい!また中断することにならないように頑張ります!
(と言うしかないよなあ…)

じゃあ4月からよろしくね
えーっと臨床研修プログラムは…

(えっ…?よろしくねって、これもう採用ってこと…?)

この科はもう修了してるからよくて、
あとは内科4か月と…まあローテはこちらで考えておくね。

は、はい!ありがとうございます!
(あれよあれよと具体的なプログラムまで決めかけたぞ…
これは間違いない)

あ、ただ最終決定権は全てうちの理事長にあるんだよね。
まあ多分大丈夫だけど、確定したら連絡するね。

わかりました!お待ちしております!

 

ふ~!!

これでもう安心!!この病院で臨床研修再開するのか~むふふ 😆 

病院見学

そして病院見学。

 

Cさん(以下、C)
Cさん(以下、C)
何年生?

えーっと、実は研修医なのですが1年目の12月に臨床研修中断しまして…

Cさん(以下、C)
Cさん(以下、C)
えっ、そうなんだ…!何で辞めたの?

それが…

行きの移動中にこんなやり取りを想像して、想像するだけで疲れてしまっていたのだが杞憂だった。

 

Cさん(以下、C)
Cさん(以下、C)
研修中断してるんだってね。俺もそうなんだよ。
うちの病院は今までも結構中途採用の人いたんだよ。

私に色々説明してくれた2年生の研修医は、他の病院で臨床研修をしていたが中断し現在はこの病院で研修を再開しているのだという。

 

それを知ってさらに安心した。なんて寛大な病院だ。

その日は心底ほっとした気持ちで帰宅し、後は病院からの連絡を待つのみとなった。

メールを待つ

病院見学と面談に行ってからメールが来るまでに1か月かかった。

 

結構時間かかったな~、色々手続きとかあったんだろうか…どれどれ

厳正なる選考の結果、誠に残念ながら採用を見送らせていただくことになりました

 

さっと血の気が引いた後に心拍数が上がるのを感じた。

…。

えっ…嘘でしょ…。

あの面談は何だったの…。

どうしよう…。

 


この時既に3月に突入していた。

臨床研修再開病院はこの病院で決まり、と思っていたので無論他の病院の候補なんてなかった。

 

4月から臨床研修を再開できると思っていたのに…。

メールを待つ1か月の間に他の病院を探すこともできたのに…。

 

あと3週間で他の病院を見つけて無事に臨床研修再開なんてできるのか!?

そもそも自分は臨床研修を再開することができるのか!?

受け入れてくれる病院、いよいよないんじゃないか!?

 

 

いや落ち着け、今できることをとにかくやろう。他の病院に連絡してみよう。

それから4つくらいの病院に受け入れしてくれないかと連絡をしたが、どの病院からも断られてしまった。

 

あ~、もうどうしようもないじゃん。

現実から目をそむけたくなり、それ以上は病院に連絡するのは辞めてしまった。

 

事件

そんなある日、3月半ばに事件が起こる。

 

私の携帯電話に大量の通知が届いた。40件ほどだったと思う。誰からなのか何となく見当はついていた。

恐る恐る開くと、それはやはり親や親戚からだった。

 

実は臨床研修中断については家族に相談も報告もしていなかったのだが、健康保険の請求書やらが実家に届き家族の知るところとなってしまったのだ。

臨床研修を中断してからは社会保険に加入できなくなってしまったので国民健康保険に加入していた(後で知ったことだが、本来は社会保険加入の任意延長というものもできたらしい)。住民票が実家の住所のままだったのでそちらに国民健康保険の請求書が行ってしまった。

 

何故家族に言えなかったか。

臨床研修を中断したい、してしまった、そんなこと言おうものなら発狂されると知っていたからだ。私と家族との関係性があまりよくないからか、どうしても自分から家族に話すことができなかった。

どうせ後で知られることにはなるだろうと思っていたが、それをわかってはいてもどうしても言えなかった。

しかし今ばれてしまったからには仕方ない。大変だったがどうにか家族に説明した。

 

そして現在もなお臨床研修再開の見通しが立っていないことを伝えると、伯父がある病院を紹介してくれた。

 

この記事を書いたのは

中尾れたす

医師、112回不合格、113回合格。医療エンタメトップライター、編集もこなしエンジニアとしても活躍。国試合格後、喜び勇んで初期臨床研修を始めるも半年で研修中断。そんな中折れ研修医がこれからどう生きていくのか臨場感をもってお届けする。臨床研修医を中断するにはどうすればよいのか、そして再開するにはどうすればよいのかを伝える。

中尾れたすの記事はこちら

@gropout

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